5月14日、安倍内閣は、「平和安全法制整備法」「国際平和支援法」の2本の法律を閣議決定し、15日に国会に提出しました。これらの法案は、日本が武力による攻撃を受けていないにも関わらず、自衛隊を海外に派兵し、例えば、アメリカなどが行っている戦争に参戦したり、アメリカ軍の戦争行為を支援するため武器弾薬の輸送や、戦闘機への給油・整備等の活動をしたりすることを認めるものです。地域的な限定はなく地球上のどこでも派兵できるとされていますし、派兵が認められる要件は極めてあいまいで、時の首相の判断一つでどうにでもなる中身になっていることから、まさに「戦争法案」です。
安倍首相は、これらの法案について、国会での十分な審理もなく、国民への説明もないまま、今年8月には法律を成立させると述べています。
私たちは、子どもたちの健やかな成長・保育の充実を求めて活動してきましたが、それは何より平和な社会があってこそ実現できると考えています。
しかし、今回の「戦争法案」は、日本が武力攻撃を受けるという状況がないにも関わらず、すすんで武力をもって他国を攻撃し、他国の人々を殺すことを認めるもので、平和な日本をつくりたい、子どもたちを健やかに育てたいという全ての人々の願いを踏みにじっています。
これらの法制が現実のものになったとき、殺し殺されるのは自衛隊員であり、次代の日本を担う若者、成長した子どもたちです。また、他国への武力攻撃やその支援は、他国の子どもたちを犠牲にするとともに、他国からの恨みと反撃を生みます。そして他国からの反撃の被害に遭い殺されるのは、私たちであり、子どもたちです。私たちは過去に起きたさまざまな戦争の経験から、これら戦争の現実を学び、憲法の平和主義にたどり着きました。「戦争法案」はこの人類の進歩を再び過去に引き戻そうとするものなのです。
永遠に戦争放棄を誓う憲法9条をもつ私たちは、平和的な外交や他国の人々の生活・人権擁護などに全力 を挙げることで国際的な役割を果たすべきであり、武力をもって自らの利益を図ろうとする、この「戦争法案」に反対します。
日本が武力攻撃を受ける場合は武力による反撃もやむを得ないと考える人も、政府 が権力を濫用しないという歯止めや保障があれば一定の場合は海外で武力行使ができると考える人も、今回の「戦争法案」は、その範囲を超えるもので、到底容認できるものではないはずです。また、国民のほとんどが十分に理解していない現状において法律の成立を強行するのは、私たちが戦後つちかってきた民主主義の理念にも反します。
私たちは、子どもの健やかな成長を願うという立場から、この「戦争法案」は認められないという一致点で反対の声を挙げるよう、すべての保育園・保護者・地域住民の方々に呼びかけます。
2015年6月7日
大阪保育運動連絡会