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保育をめぐる情勢
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いろはにほいく ちえぶくろ [30]
保育所最低基準を考える

芳村 慶子 (大阪保育運動連絡会 事務局長)

保育者の仕事
アンケート調査実施

 みなさん、まだ覚えておられますか?5年前、突然の新型コロナウイルスが広がり、保育施設では無理な3密を避けるように言われ、保育者も保護者も戸惑いました。
 散歩にもいけない状況にもなり、子どもたちもストレスがかかったと思います。その時に自治体から可能な保護者は「家庭保育をしてください」と要望があり、協力された家庭も多くあったと思います。
 その時期に大阪保育研究所が「新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下における保育者の仕事」(2020年11月16〜30日)アンケート調査を行いました。
 クラス在園児数に対する緊急事態宣言下の出席率から「かみつき・おもちゃのとりあい・ケンカなどのトラブルのこと」「保育者が大きな声を出すこと」「ゆとりを持って対応すること」についてとても興味深い結果がました。
 平均出席率が50%未満に減ると「かみつき・おもちゃのとりあい・ケンカなどのトラブルなどが減った」「保育者が大きな声を出すことが少なくなった」「ゆとりを持ってこども対応することが出来た」と感じる保育者が増えることがわかりました。
 特に「ゆとりをもってこどもに対応できた」は出席率が75%未満の場合は「とても感じる・感じる」が57・5%に対して出席率が50%未満に減ると「とても感じる・感じる」が約70%に増えます。
 この結果から出席率が50%未満(半分)になると子どもの様子や保育者の対応がかわることが分かります。子どもの出席率が減るという事はお部屋も広く使えることに繋がります。

改善されたことが実感できるまで

 今回、国は76年ぶりに4・5歳児を30対1→25対1へ。1歳児は6対1→5対1へ。3歳児は20対1→15対1へ改善しました。条件付きの改善で課題は多くありますが、これまで保育関係者が毎年声を上げ改善を求めてきた成果です。しかし、残念ながら今回の改善では現場感覚として「ゆとりをもってこどもに対応できるようになった」とは言い難い状況です。
 大阪保育研研究所の調査結果を基にすると現行基準の半分、4歳と5歳は30対1→15対1へ。1歳児は6対1→3対1へ。3歳児は20対1→10対1にしないと改善された事を実感できないのだと思います。0歳児と2歳児の改善も同様です。
 新年度が始まりましたが、保育士不足の状況は依然、続いているようです。短時間で働く職員で保育をつないでいる、ギリギリの職員数なので保育士自身や家族に何かあっても休めずストレスを抱えているなどの状況が大保連に報告されます。大好きな子どもの成長を保護者、保育士同士で喜び合える、そんなやりがいを感じる保育現場にするために常勤保育者を増やし、さらなる保育基準の改善が必要です。

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