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保育をめぐる情勢
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いろはにほいく ちえぶくろ ㉒
保育現場の実態に対応した
公定価格の改善を

岩狭 匡志 (大保連副会長)


 「すべての子どもによりよい保育を!12・16政府・国会要請行動」(2021年12月16日)の際に、大阪保育運動連絡会として内閣府・厚生労働省と独自に懇談を行いました。政府の経済対策による保育士月額9千円の賃金引上げや人事院勧告のマイナス改定の対応等の懇談概要は、近々の月刊「保育情報」に掲載予定につき、こちらでは、未掲載部分を報告します。


 まず、国が定める公定価格が保育現場の実態に対応していない価格であることを大阪市の私立保育園の実例で揚げました。定員の約3割で要保護・要支援等の特別対応が必要であり、職員は通常対応以上に時間を割き、ハードな対応も迫られており、職員体制や専門職の支援がなければ適切な対応が困難であることを指摘しました。現在の公定価格では十分な職員配置が考慮されていないことから、児童虐待件数などが増えている地域など現場の実態にあった公定価格の改善が必要ではないかということを求めました。
 内閣府の担当からは、公定価格は全国一律で単価設定し標準となるものを積み上げ方式で算定していることから、地域の様々な課題への対応については公定価格でなく補助事業での対応が望ましいとの考え方を示しました。


すべての保育施設に看護師配置を

 次に、看護師の配置について、公定価格で見込まれていないことを指摘しました。今回の感染症対応で医療関係者が保育施設にいることの重要性が認識されたものの、現在では看護師を配置するには病児保育事業(体調不良児対応型)の補助金を活用することになっています。しかし自治体がその補助事業を適用しない場合には、施設が独自予算で看護師を配置しています。コロナ禍の経験からもすべての保育施設に看護師の配置ができるよう、公定価格に看護師配置も含んでほしいと求めました。
 内閣府の担当からは、公定価格は配置基準に基づき、決められた価格であり、配置基準上での位置付けがない看護師などは基本的に対応が困難であるとの基本的な考え方を示しました。しかし、基準以外の加算も必要だということも承知しているとしました。ただし、財源が必要なことからまず、未実施の1歳と4・5歳の職員配置の改善が優先であり、優先度的には看護師配置は困難な課題であるとの考え方を示しました。


特別な支援をするための事業も看護師配置事業も使いにくい実態

 特別対応については、国の補助金で「家庭支援推進保育事業」があります。当該事業は「特別な配慮が必要な児童(40%以上)」の場合に保育士1名が加配(補助基準額:約387万円 補助割合:国1/2、市町村1/2)されますが、実例ケースは入所児童の3割程度につき、40%以上の条件をクリアしませんし、市町村が予算措置しなければ適用されないことになります。(2019年度の全国実績は344カ所)
 そして、看護師配置についても、「病児保育事業」(補助基準額:約500万円 補助割合:国1/3、都道府県1/3、市町村1/3)がありますが、市町村などが予算措置しなければ適用されないことになります。(2018年度の全国実績は体調不良児対応型で1412カ所)
 ともに保育所等の総数からすれば、家庭支援推進保育事業は約1・2%、体調不良児対応型も約5・1%と、補助適用は極めて少数です。いずれの事業も保育現場の深刻な実態に対応できておらず、市町村の対応にも左右されることから、必要な支援や対策が確実に行えるよう公定価格の改善が求められます。



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