国は少子化を克服するために、全ての子ども・子育て世帯に対して支援の拡充を検討しています。特に0~2歳児への支援が必要だとしています。そこで、現在の保育所等を利用できるのは、保護者が働いているなど保育の必要性がある者です。それを専業主婦家庭なども利用できるようにしようというのが「こども誰でも通園制度」です。しかし、現在保育所などに通っている子どもたちとは同様にはいかないので、国は2026年度本格実施をめざして制度の内容を検討しています。そのために今年から試行的事業が行われています。大阪では大阪市・東大阪市・豊中市・高槻市・富田林市の5市が7月からスタートしています(実施内容は1面のニュースファイル参照)。全国で115自治体に実施(4月26日現在)。
〈試行的事業〉
利用方法 ― 定期利用と自由利用、または定期利用と
自由利用の組み合わせ。
実施場所 ― 在園児と合同、専用室もうける。
保護者負担 ― 子ども一人1時間あたり300円程度を
標準として実施施設で設定。
利用時間 ― 一人当たり「月10時間」を上限。
対象となる子どもは保育所、幼稚園、認定こども園、地域型保育事業などに通っていない0歳6か月~満3歳未満の乳児です。ということは今、この機関紙を読んでくださっている保護者はほとんど、保育所や認定こども園、小規模保育に子どもさんが通っておられると思うので、みなさんは「こども誰でも通園制度」の対象外なのです。
一時預かり事業とどこが違うの?
「こども誰でも通園制度」は保育所などを利用していない保護者にとっては期待されている制度です。しかし、現在、保育所などでは「一時預かり事業」「子育て支援事業」などがすでに実施されています。保育関係者からはこれらの事業をもっと充実すれば、(例えば一時預かり事業であれば複数専任保育士の配置のための人件費補助、保育室確保のための施設整備費など)新たな制度をつくらなくても地域の保護者のニーズに答えられるとし、「なんで、似たような事を始めるの?どこが違うの?」と疑問の声が上がっています。国も今のところ「一時預かり事業」との違いを明確に示しておらず、両者の関係は本格実施に向けて引き続き整理するといっています。保育現場は深刻な保育士不足が続いている中で安心・安全な制度になるのか、少子化克服に効果的な制度になるのか…。今後も注視していく必要があります。