現在、日本は深刻な少子化がつづいています。特にコロナ禍の3年間で婚姻件数は約9万組減少し、未婚者の結婚希望や希望する子ども数も大幅に低下・減少している状況です。少子化がすすめば人口も減少します。現在、日本の総人口は1億2500万人ですが、このままでは、2070年代には8700万人程度になることが予想されています。わずか50年で日本の人口は3分の1になってしまうということです。50年後、私たちの町はどうなっているのでしょうか?子どもや孫はどうなっているのでしょうか?近くに保育園や小学校があるのでしょうか?不安になりませんか?
国はこの状況を克服するために、次々と子ども・子育て政策の強化を打ち出しました。「こども予算倍増」「異次元の少子化対策」など岸田首相が演説していたのをご存じだと思います。
ここからさらに最低基準改善をすすめよう
12月末に2024年度の国の予算や「こども未来戦略」などを内閣が決定しました。「こども未来戦略」では少子化を克服のため2026年までの3年間を「加速化プラン」と位置付け、出来る限りの施策を前倒しで実施するとし、3・6兆円の予算を付けました。3・6兆円が多いのか、少ないのか判断しかねるところです。その内容を見てみると、児童手当の所得制限撤廃、支給期間を高校生年代まで延長、多子加算を第3子以降3万円に拡充、これらを今年の12月から支給開始となっています。(4月から開始してほしいですね!)
私たち保育関係者が切望していた配置基準の改善も盛り込まれました!国の資料にはこのように書かれています。
1、「子ども・子育て加速化プラン」に基づく対応
(1)幼児教育・保育の質の向上
○4・5歳児の職員配置基準を30対1から25対1への改善し、それに対応する加算措置※を設ける。これと併せて最低基準の改正(30対1→25対1)を行う。(当分の間は従前の基準による運営も可能とする経過措置を設ける)また、3歳児についても4・5歳児と同様に最低基準の改正(20対1→15対1)を行う。
※チーム保育推進加算やチーム保育加算を取得している施設は25対1以上の配置が実現可能となっているため、引き続き当該加算のみを適用
75年間、改善しなかった配置基準を変えさせたのは、私たち保育関係者が毎年署名を積み上げ、声を上げてきた成果です。特に愛知を中心に行った「子どもたちにもうひとり保育士を!」の声が全国の運動に広がり、市町村からは意見書決議が上がり、マスコミにも取り上げてもらいました。この改善では「ゆとりある保育ができるようになった!」という現場感覚にはつながらないと思いますが、私たちの運動で、配置基準改善という重い「扉」をこじ開けたのです。ここからさらに最低基準の改善をすすめていきましょう。
こども政策の効果を分析してきた京都大学の柴田悠教授は児童手当拡充など一定の評価は出来るとした上で、海外の例なども参考に試算すると、今回の政策では出生率の改善は0・1あるかどうかだということです。効果を出すためには約4兆円追加し、児童手当を第2子に月最大3万円、第3子に最大6万円、高等教育費の軽減の対象を多子世帯以外にも広げ、保育士の賃上げ、1歳2歳児全員の受け入れ、配置基準見直しなどの施策が必要だということです。
さらに出生率を大きく改善するためには、長時間労働や女性が一人で育児家事を担う現状の改善が必要だと強調されています。
これからも最低基準の改善とあわせて働き方や賃金引上げについて学習し、「子どもの権利を守ろう」と声をあげていきたいですね。