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保育をめぐる情勢
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いろはにほいく ちえぶくろ [23]
実地監査の規制緩和に
反対しよう

岩狭 匡志 (大保連会長代理)


実地監査で明らかになる不適切な保育

 安全で質の高い保育を子どもたちに提供するために、児童福祉法施行令によって保育所等に対する年1回の実地監査(現場への立入監査)が都道府県、政令市、中核市に義務付けられています。
 しかし、2021年12月に厚生労働省は、年1回の実地監査の義務付けを規制緩和して、書面やリモートでの監査で対応できるよう児童福祉法施行令を改正(関係条文を削除)することをパブリックコメントで提案しました。コロナ禍を理由にした提案ですが、緩和されればコロナ禍の例外的な対応が恒常化されてしまいます。
 2019年度の保育所の実地監査率の全国平均は62・5%と、コロナ前から実施率は低い状態でした。実地監査の実施率100%の自治体が約半数ある一方で、実施率20%未満が全体の1割と、自治体間で大きな差があります。法令で義務付けられていてもきちんとできていないのに、緩和されて良くなるとは思えません。
 実地監査が十分できていない自治体の多くは、待機児童対策による保育所等の増加や、保育の無償化に伴う認可外保育施設の立入強化で、業務量が大幅に増加したのに職員数が増えない事情があります。人が足りないなら人を増やすべきで、職員体制が整わないからと実地監査を緩和することは本末転倒です。
 これまでも実地監査により、不適切な保育が明らかとなり認定を取消した事例もあります。現場に立ち入るからこそ気がつくこともあるのです。また近年、保育所等での重大事故の発生が急増していることからも、子どもの命を守り、豊かな成長を保障するためにも監査の充実と徹底こそが求められます。
 厚生労働省は、パブリックコメントに反対の意見が多く寄せられたにもかかわらず、2022年夏頃に関係法令の改正を行い、2023年度から緩和するかまえをくずしていません。
 実地監査の緩和に対して、いま声を上げなければいけません。大阪保育運動連絡会や全国保育団体連絡会の取組みの提起にこたえ、実地監査の緩和反対の声を大きくしていきましょう。



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