いろはにほいく ちえぶくろ [24]
「異次元の少子化対策」のたたき台
岩狭 匡志 (大保連会長代理)
政府は3月31日、岸田首相が掲げる「異次元の少子化対策」のたたき台を発表した
たたき台では、これからの6~7年が少子化傾向を反転できるかのラストチャンスで、今後3年間を集中取組期間と位置付け「こども・子育て支援加速化プラン」に取り組むとしている。児童手当の拡充をはじめとする経済的支援の強化や、子ども・子育て世帯向けサービスの拡充などが柱だが、詳細な制度設計はほぼ先送りで、必要になる予算規模も明らかにしていない。
政府は、今回のたたき台をもとに、詳細な施策の内容や予算規模、それに財源を具体化し、6月の「骨太の方針」の策定までに将来的な「子ども予算倍増」に向けた大枠を示す方針としている。
「加速化プラン」では、子育て支援は量の拡大から質の向上へと政策の重点を移すとし、「75年ぶりの配置基準改善と更なる処遇改善」との言葉も並ぶが、実態は保育士の配置基準は変えず、保育士1人が受け持てる1歳児を6人から5人、4・5歳児は30人から25人にできるように運営費を「加算」により増額する方針となっている。配置基準を変えると、保育士不足の現状では人員を確保できない保育所がでる可能性があり、基準の改定は見送ったかたちだ。
この間の「子どもたちにもう1人保育士を!」の全国的な運動もあり、加算実施の方向性を国に示させたことは大きい。しかし、この程度では、私たちが求める保育現場の抜本改善には程遠い。本当の意味での「もう1人」を実現するためにも、配置基準と処遇のさらなる改善を求めていく必要がある。
当面は、6月の「骨太の方針」にむけた取組み(緊急署名など)を強めつつ、政府の集中期間内での要求実現をめざした継続的かつ積極的な運動を大きく広げることが求められる。まさに、保育運動にとってもこの数年がふんばりどころである。
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