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保育をめぐる情勢
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いろはにほいく ちえぶくろ [14]
「無償化」で問われる子どもの安全
保育の質も公平に

岩狭 匡志(大保連副会長)


 幼稚園、保育所などの保育料を無償にするための子ども・子育て支援法改正法案が、第198回国会で審議(4月3日に衆議院通過)されています。法案の大きなポイントは、認可外保育施設などを利用したとき、市町村が保護者に施設などの利用費の一部を支給することになっており、これが法案の中核です。
 これまで認可外の利用に対して公的支援がなかったことからすれば、その点は前進と言えます。しかし、5年間は認可外保育施設の基準に満たないものや、資格がなくともできるファミサポなども支給の対象となっていて、質の低い認可外などの利用が促進されてしまう恐れがあります。
 今回の無償化の対象年齢は、3歳から5歳児の全ての世帯と0歳から2歳児の住民税非課税世帯(低所得世帯)です。当初、無償化となるのは、新制度の保育所、幼稚園などの認可施設だけでした。それが待機児童などで保育施設に入れず無償化の恩恵が受けられない人が出てくることから、認可外施設等についても利用料の一部助成がされることになりました。
 認可外の利用の多くは低年齢児に集中しています。とりわけ、無償化の対象となる低所得世帯については、非正規や求職中であることから、認可保育施設に入りたくてもポイントが低く認可外を利用せざるをえないことが想定されます。そして、保育中の死亡事故については、認可施設よりも認可外施設の方が圧倒的に発生確率は高く、その大半は低年齢児に集中しています。
 今回、無償化対象施設に質の低いものも含まれることになっていますが、国のお墨付きがあるから安心だと思って認可外を利用することも予想されます。
 これでは、保護者の雇用や所得の格差が子どもの受ける保育の質にも連動されるかたちとなってしまいます。
 国は、認可外施設などの立入監査を拡充し、質の向上をはかるとしています。しかし、現状でも認可外施設の年1回の立入りができているのは約7割で、そのうち基準不備が約4割という状況です。さらに、ファミサポには立入監査は実質的にありません。
 認可施設に比べて緩い基準の施設や事業も一律に無償化するというのは問題です。お金の面だけ公平にするのではなく、保育の質を公平にすることが、子どもの命や安全を守ることにつながります。



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